戦略法務・ガバナンス研究会の設立の背景

少子高齢化の問題や「失われた30年」といわれるように30年もの長き間、日本のGDPは停滞し、国際競争力の低下という大きな課題に直面しています。このまま何も手を打たなければ「失われた50年」になりかねません。

そのような中、経済産業省の「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会」が2018年と2019年の二回にわたって報告書を発表し、法務部門の重要性を説くと同時に、経営者に対して日本企業における法務機能の強化・改革の必要性を示しました。しかし、残念ながら当初期待されていた法務機能の改革は十分になされたとは言えないのが現状です。

また、2020年5月に、従来のISO31000を補完する形でISO 31022:2022「リーガルリスクマネジメントのためのガイドライン」が公表され、企業におけるリーガルリスクマネジメントに特化したフレームワークが提示されました。しかしながら、どこまでの日本企業が、全社のリスクマネジメントにおいて「リーガル・リスク」を明確に意識し、適切にリスクテイクする経営ができているのか、非常に心もとない状況であるように感じています。

日本企業の多くに共通する主な重要課題は、①サステナビリティ、ESG、経済安全保障、知財・無形資産ガバナンス、新事業や先端技術への対応等新たな取り組み分野における法務機能が果たす役割が明確でないこと、②グローバルな法務ガバナンス体制やリーガルリスクマネジメント体制が構築できていないこと、そして③真の戦略法務・ガバナンス人材の育成であると考えます。

なお、ここでいう「戦略法務」の機能は、企業の法務部門に限らず、コーポレートガバナンス部門、経営企画部門、IR部門、知財部門、総務部門、人事部門、リスクマネジメント部門、コンプライアンス部門、輸出管理部門、経理部門、財務部門、広報部門、事業部門等、会社で法務やガバナンスに携わる部門・部員を想定しています。

このたび私たちは日本企業30社以上の法務部門その他コーポレート部門の責任者や部員の方と、政府機関、一流教育機関等の有識者、コンサルタント等専門家、出版社等関係者の方々の参加を得て、「戦略法務・ガバナンス研究会」を立ち上げました。

日本企業の法務部門やコーポレート部門の皆さん、是非「戦略法務・ガバナンス研究会」にご参加下さい。「戦略法務で日本企業の稼ぐ力を取り戻す」ために、一丸となって、戦略法務・ガバナンス機能の強化と、戦略法務・経営法務人財の育成に取り組みましょう。